2位:マンチェスター・ユナイテッド
【写真:Getty Images】
監督:エリック・テン・ハグ
基本フォーメーション4-2-3-1
三笘薫がマンチェスター・ユナイテッドに移籍した場合、戦術的なスタイルには合致しそうだ。
今季よりエリック・テン・ハグが監督に就任した中で、まだこのオランダ人指揮官がアヤックス時代に展開していたようなポゼッションサッカーはできていない。というのも、ユナイテッドの既存の選手たちがあまりにもパスサッカーにアンフィットな選手たちが多く、現在は徐々に指揮官の色を出すためにアップデートしている最中だ。
そんな現在のマンチェスター・ユナイテッドを語る上で欠かせないのが10番のマーカス・ラッシュフォードだ。昨季はプレミアリーグで4ゴールしか決めることができなかったが、今季は既に3倍以上の15ゴールを記録。彼の武器は何と言っても圧倒的なスピードだ。コーチを務めるベニー・マッカーシーの影響もあってストライカー的な動きが上手くなったことも得点量産の要因の一つだが、このスピードを活かしたカウンターからのゴールも非常に多い。
データサイト「WhoScored.com」によると、現時点でユナイテッドはカウンターからプレミアリーグで最多の7ゴールを記録している。これはラッシュフォードのようなスピードが持ち味のFWとリサンドロ・マルティネスやクリスティアン・エリクセン、ブルーノ・フェルナンデスら優れた出し手がいることが影響している。
こうしたカウンターや裏抜けでの得点パターンがあるチームにおいて三笘は輝く。前線にスペースがある状態でボールを受けることができればこの日本代表FWの独壇場である。味方とのワンツーで裏に抜け出してのゴールなど、多くの得点パターンからネットを揺らすこともできそうだ。またラッシュフォードを成長させたコーチのマッカーシーの影響で、さらにフィニッシュ精度が上がる可能性もある。
懸念すべき点はチームの絶対的エースであるラッシュフォードとポジションが被っている点だ。今季このイングランド代表FWはチームにレギュラーと呼べるストライカーが不在のため、最前線のポジションで起用されることも多いが、本職は左WGである。今季ローン移籍で加入しているヴォウト・ヴェグホルストや4度も負傷離脱を繰り返したアントニー・マルシャルに退団の可能性がある中で、ユナイテッドが今夏にも新たなストライカーを獲得する可能性は高い。となれば、ラッシュフォードは再び左WGを主戦場とするため、三笘を獲得する余裕はなくなるかもしれない。
逆にラッシュフォードにストライカーのポジションを任せるとなれば、三笘にとってもユナイテッドへの移籍がポジティブなものになる。今夏の移籍市場でユナイテッドがどのように立ち回るかが移籍のカギを握るだろう。